空を見上げる
滝つぼ
最近、空を見上げることが多くなった。
煙草を吸わなくなったためにサラリーマンの井戸端会議もとい
煙草会議に出席できなくなったため、
なんだかつまらないのだ。
要するに用もないのに机から離れて外へと赴くわけで、
今までなら「煙草」の理由付けがあったため、いや正確にはこれだけ「禁煙」だと騒がれている昨今である、
煙草が理由付けというより煙草の批判に対して、痛み分けできる同じニコチン中毒者の友がそこにはいる。
その優秀な仲間が醸しだす慣習こそが立派な理由付けであった。そりゃあ立派なことですから、
会社の敷地でも端の方に集まり各々がストレス発散をするのだ。
そしてそれは最大の理由付けであり、結果、最高の息抜きであったわけだ。
で、私はいつからか喫煙者が禁煙者になり今では嫌煙者だと、自分では認識しているから健康になったんだと思う。
それで今度は、その喫煙から開放されたと嬉しくなったものだが、かと思えば次は机から離れる口実が見出せなくなった。
つまり理由もないのに外に出るのはナンセンスな気がするわけだ。
かといって外に出ずに机に座ってばかりでは息抜きになりゃしない。
だから外には出るのだが、はて、どうすれば怪しくないだろうかと、
ない知恵を絞った結果、ただ一点を見つめているよりは周囲に害が少ないだろうと、ただそれだけなんだけど、
空を見上げることにしたのだ。
メンヘルなんじゃね?なんて思われても気にしない。
だって健康になってるんだし、周囲にブハブハ煙を出して迷惑かけたりもしていないし、今の社会に順応してるでしょ?
素晴らしい事じゃないか、だから全然人の目なんか気にしない、気になんないよー。そう半ば無理やり考えることにして、
今日も今日とて空を見上げるわけ。
で空を見上げながらボーッと考えたんだけどさ、
雲をクチから作り出す人と雲を眺める人。
はて?さぼってる風に見えるのは、どっちになんのかなぁ。